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ピークフィッティング

Fitting diffraction peaks ツールは、回折プロファイルのピークを適当な関数でフィッティングし、ピーク位置 2θ から d 値を求め、最小2乗法によって格子定数を最適化する一連の作業を行います。メインウィンドウのツールバーから起動します。

ピークフィッティングのウィンドウ全体

基本的な操作の流れ

  1. 対象となる結晶を、結晶リストから選択しておきます(マルチプロファイルモードでは、対象とするプロファイルもあわせて選択します)。
  2. メイン画面で回折線をマウスでドラッグし、測定ピークになるべく重なるように位置を調節しておきます。
  3. フィッティングを行いたい回折線の指数を、回折線リスト(チェックリストボックス)から選択します。
  4. 独立な指数を何本か選んで最小2乗法が計算可能になると、画面右下の Optimized cell constants(最適化した格子定数)パネルに最確な格子定数が誤差付きで表示されます。
  5. Apply to the crystal(選択中の結晶に適用)ボタンを押すと、求めた格子定数がプログラム本体の結晶に反映されます。

結晶のチェックと選択

結晶リストはメインウィンドウと同じ内容です。フィッティングを有効にするには、対象の結晶を「チェック」かつ「選択」しておく必要があります。

結晶リスト

結晶リスト

ウィンドウ左上の結晶リストには、メインウィンドウと同じ結晶が並びます。ここでチェックして選択した結晶が、フィッティングの対象になります。詳細は 結晶パラメータ を参照してください。

回折線リスト

回折線リスト

選択中の結晶の回折線が一覧表示されます。各行のチェックボックスをオンにすると、その回折線がフィッティング対象になります。リストには次のような列が含まれます。

内容
Check フィッティング対象にするかどうか
PeakColor 表示色
Crystal 結晶名
HKL 反射指数
Calc X 計算上の回折線位置
Func 使用するピーク関数
X フィッティングで求まったピーク位置
X Err ピーク位置の誤差
FWHM 半値全幅
Intensity ピーク強度
Weight 最小2乗法での重み
R フィッティングの残差指標

リスト下部のボタンで結果を書き出せます。

  • Copy to clipborad: 表の内容をクリップボードにコピーします。Excel などに直接貼り付けできます。
  • Save as CSV: 表の内容を .csv ファイルとして保存します。Effective digit(小数点以下桁数)で有効桁数を指定できます。
  • Clear peaks: フィッティング結果をクリアします。

Fitting option(フィッティング条件)

フィッティング条件

ピークプロファイルをフィッティングする際の細かい設定を行います。

Search Range / Initial FWHM

Search Range と Initial FWHM

  • Search Range(範囲): フィッティングを行う範囲を設定します。すなわち、計算上の回折線位置から ±Search Range 分を、そのピークのフィッティング対象範囲とします。
  • Initial FWHM(初期半値幅): プロファイル関数の初期半値幅を指定します。最小2乗法の収束のための初期値として使われます。

Apply to all(全てのピークに適用)ボタンを押すと、現在の設定をすべての回折線に一括で適用します。

Peak function(ピーク関数)

フィッティングに使用するピーク関数を選びます。

ピーク関数 内容
Simple Search 関数フィッティングは行わず、計算上の回折線位置から ±Search Range の範囲でもっとも強度の強い点をピーク位置と認識します。
Symmetric Pseudo Voigt 左右対称の擬似フォークト関数でフィッティングします。
Symmetric Pearson VII 左右対称のピアソン VII 関数でフィッティングします。
Split Pseudo Voigt 左右非対称の擬似フォークト関数でフィッティングします。
Split Pearson VII 左右非対称のピアソン VII 関数でフィッティングします。

推奨される関数

特別な理由がない限り、安定性に優れた Symmetric Pseudo Voigt の使用を推奨します。

擬似フォークト関数は、ガウス関数 \(G(x)\) とローレンツ関数 \(L(x)\) を混合比 \(\eta\) で線形結合したもので、次式で表されます。

\[ \mathrm{pV}(x) = \eta\, L(x) + (1-\eta)\, G(x), \qquad 0 \le \eta \le 1 \]

ここで \(\eta\) はローレンツ成分の割合です。Split 型は、ピーク位置の左右で半値幅などのパラメータを独立にとることで、非対称なプロファイルを表現します。

Pattern Decomposition(パターン分解)

パターン分解

選択された 2 本以上の回折線の Search Range に重なり合いがあるとき、ピーク分解(複数ピークの同時フィッティング)を行うかどうかを選択します。

  • in each crystal(個々の結晶に対して): 結晶ごとに独立にピーク分解を行います。
  • between crystals(全ての結晶に対して): すべての結晶にまたがってピーク分解を行います。

Optimized cell constants(最適化した格子定数)

最適化した格子定数パネル

独立な指数を十分に選び、最小2乗法が計算可能になると、このパネルに最確な格子定数 \(a, b, c, \alpha, \beta, \gamma\) と体積 \(V\) が、それぞれの誤差(±)付きで表示されます。

NA の表示について

自由度(拘束されていないパラメータ数)が不足しているとき、すなわちフィッティングしたピーク数に対して自由度が等しいか、その格子定数に自由度がない場合には、誤差として NA が表示されます。十分な数の独立な反射を選ぶと誤差が計算されます。

  • Apply to the crystal(選択中の結晶に適用): 求めた格子定数を、メインプログラム側の選択中の結晶に反映します。
  • Copy to Clipboard(クリップボードにコピー): 最適化した格子定数をクリップボードにコピーします。
  • Reset take off angle: テイクオフ角(取り出し角)をリセットします。

Remove fitted peaks(フィッティングしたピークの除去)

フィッティングしたピークをプロファイルから差し引き、残差プロファイルを新しいプロファイルとして出力します。New profile name(新しいプロファイル名)に出力先の名前を入力し、Remove fitted peaks(ピーク除去)ボタンを押すと差し引きが実行されます。バックグラウンドや重なり合うピークの分離を確認するときに利用します。

関連ツール(Send d-values)

Send d-values to CellFinder && AtomicPositionFinder ボタンを押すと、フィッティングで得られた d 値を、ツールバーから起動できる次の解析ツールに送ることができます。

Cell Finder(格子定数の探索)

Cell Finder

Cell Finder は、測定されたピーク位置(d 値の一覧)から、それを説明する単位格子(格子定数)を逆算して探索するツールです。未知試料の指数付けに利用します。

Atomic Position Finder(原子位置の探索)

Atomic Position Finder

Atomic Position Finder は、観測された反射の強度などから、結晶構造中の原子位置を探索するツールです。

未知試料の同定

Cell Finder で格子定数を決めたあと、その結晶を結晶リストに登録すれば、本ツールの最小2乗フィッティングでさらに格子定数を精密化できます。