付録 A1.2. 回折シミュレーションにおける座標系の定義¶
Crystal Diffraction 機能は、検出器上に写る回折パターンをシミュレーションします。検出器はピクセルの集合からなる有限サイズの平面で、試料から一定の距離に置かれ、入射ビームに対して傾いている場合もあります。これを正確に再現するには、検出器と試料の幾何学的関係に加え、検出器のピクセルサイズ・ピクセル数の情報が必要です。基本(方位)座標系については A1.1. 基本座標系と結晶方位の定義 を参照してください。
ZとYは方位の座標系とは異なる
検出器の座標系では、\(Z\)軸はビーム方向に平行で、\(Y\)軸は下方向です。これは方位の座標系(ビーム= \(-Z\)、\(Y\)= 上方向)とは異なることに注意してください。検出器の座標系は、画像・検出器で一般的な慣習(原点が左上、\(Y\)は下向きに増加)に従います。
回転前(検出器がビームに垂直)¶
3つの座標系を定義します。
- 実座標 (\(X\), \(Y\), \(Z\)) : mm単位の3次元直交座標。試料を原点とする。\(Z\)軸はビーム方向に平行で、\(Z\)軸方向を正面に見て \(X\) は右、\(Y\) は下を向く。検出器がビームに垂直のとき、\(X\) / \(Y\) は \(X'\) / \(Y'\) に平行。
- 検出器座標 (\(X'\), \(Y'\)) : 検出器平面上のmm単位の2次元座標。foot を原点とする。\(X'\) / \(Y'\) は検出器平面上で右 / 下を向き、\(X''\) / \(Y''\) に平行。
- ピクセル座標 (\(X''\), \(Y''\)) : ピクセル単位の2次元座標。検出器の左上隅を原点とし、検出器のピクセル配列に沿う。
検出器がビームに垂直なとき、foot と透過スポットは一致し、Camera length 1 と Camera length 2 は等しくなります。
回転後(検出器が傾いた場合)¶
検出器の傾きは2つのパラメータで表現します。
| パラメータ | 説明 |
|---|---|
| \(\varphi\) | 回転軸の方向。\(XY\)平面(\(Z\) = 0 平面)上で、\(X\)軸から測った角度 |
| \(\tau\) | その軸まわりの回転角(右ネジの方向) |
検出器が傾くと:
- 透過スポットと foot は一致しなくなる。
- Camera length 1 (\(C_1\)) = 試料から透過スポットまでの距離。
- Camera length 2 (\(C_2\)) = 試料から foot までの距離。
- 検出器座標の原点は常に foot、ピクセル座標の原点は常に左上隅。
- \(X\) / \(Y\) 方向は \(X'\) / \(Y'\) 方向と一致しなくなる。
パラメータ一覧¶
| 用語 | 定義 |
|---|---|
| Sample(試料) | 入射ビームを散乱する物質。実座標の原点 |
| 実座標 (\(X\), \(Y\), \(Z\)) | 実験系のmm単位の3次元座標。原点は試料、\(Z\)軸は常にビーム方向に平行 |
| 透過スポット (Direct spot) | 入射ビームと検出器の交点 |
| Foot | 試料から検出器平面に下ろした垂線の足。検出器座標の原点。検出器がビームに垂直なときのみ透過スポットと一致する。重ね合わせ画像モードでは foot の位置をピクセル座標で設定する |
| 検出器座標 (\(X'\), \(Y'\)) | 検出器平面上のmm単位の2次元座標。原点は foot |
| ピクセル座標 (\(X''\), \(Y''\)) | 検出器平面上のピクセル単位の2次元座標。原点は左上隅 |
| Camera length 1 (\(C_1\)) | 試料から透過スポットまでの距離 (mm) |
| Camera length 2 (\(C_2\)) | 試料から foot までの距離 (mm) |
| Pixel size | 1ピクセルの一辺の長さ (mm)。正方ピクセルのみ対応 |
| Detector width / height | 水平 / 垂直方向のピクセル数 |

